第15回大会  最優秀賞 
         李 美(Li Mei)

素敵な出会いをありがとう

                               ()(メイ)

 
 中国にいた頃、頭の中で描いていた日本のイメージは、キムタクが主演するドラマに出てくるような、洗練された東京の街並みでした。華やかな新宿歌舞伎町や、秋葉原の電気製品、渋谷109の今時流行りのファッション等、とにかく流行の最先端を走っている国というイメージしかありませんでした。それで、いつかは是非東京に行って見たいと思っていました。つまり、私の頭には、日本と言えば、東京。それしかありませんでした。

 そして、昨年4月、私は国際交流員として、やっと憧れの日本に来ることができました。しかし、現実の日本はドラマの中のそれとは違っていました。湧水町―それまで想像していたイメージとは程遠いこの町の姿に、最初はちょっとびっくりした、というより・・・かなりがっかりしたのです。

 

空港に降り立ってまもなく、出迎えに来てくださった担当の方に会いました。可愛いらしい日本人の顔付きに、聞いたことのない不思議な日本語―鹿児島弁の訛りにびっくりしました。その担当の方に連れられて、車に乗り、山を越え川を渡り、くねくねした道を走って行きました。いったい、どこに連れて行くのだろうかと心細くなりました。30分の道のりは私にはとても長かったと覚えています。そうして、ようやくたどり着いたのはある小さな町、それが私と湧水町との初めての出会いでした。

湧水町に来て、カルチャーショックの連続でした。担当の方に初めて住まいまで送ってもらった時、ベランダに設置された洗濯機を見てびっくり。皆さん、なぜだと思いますか?私は、これじゃ、洗濯機を泥棒に持っていかれるのではないかと心配したのです。

                                                           

また、近所を散歩した時には、畑で取ったばかりの新鮮な長葱を川で洗うおばさんも見かけました。昔は中国の私の故郷でも、川で野菜を洗う人がいましたが、最近は経済発展と共に公害で川の水が汚れてきたので、川で野菜を洗う人はいなくなったのです。

 

自然に恵まれたこの(まち)で、私が出会った人々も、親切な人たちばかりでした。

例えば、日本のヤーコン茶は糖尿病に効くと知り、中国の母にも送りたいと日本の友人に話したら、鹿児島でもヤーコンの栽培が可能だと教えてくださいました。それで、その友人の畑に苗を植えてもらい、収穫の季節になると、二人で畑に行って、新鮮な葉っぱと芋を沢山収穫しました。お陰様で、私の母も、以前よりもっと自信を持って治療に向き合うことができました。

 

最近は、思いがけない出来事もありました。昼間、友人に自転車がパンクしたことを電話で話しましたが、夕方、仕事が終わって駐車場に行ってみると、すでにパンクが直っていたのです。また、私が滋賀県の研修先から帰ってきた時のことです。友人には特に連絡もしなかったのに、飛行機の到着時刻に合わせて、近くのバス停まで出迎えに来てくださったのです。友人の優しさにただただ感動しました。

もっと感動したことは、中国四川省の大地震の時でした。湧水町が被災者の生活支援を図るため、募金活動を行いました。地震後2ヶ月足らずの間に、約34万円の義援金を集め、赤十字社を通じて、中国の被災地に届けられました。湧水町の皆さんの優しさは、国境を超えて、遠い被災地の人々にも届いたと思います。

一期一会という言葉がありますが、私と湧水町との出会いは、正に一期一会だと思います。もし、私の研修先が東京だったなら、このような感動的で、かけがえのない思い出は無かったかもしれません。自分の第二の故郷として、この出会いを一生大切にしたいと思います。国際交流員としての仕事はそろそろ終わりに近付きます。短い任期ですが、湧水町の皆さんとの出会いは、私の人生における貴重な財産として、いつまでも大事にしていきたいと思っています。

以上です。ご静聴どうも有難うございました。